牧師東西南北( 2006年4月30日 週報より)


 ユダの福音書の写本が発見されたとのニュースを新聞で読んだ。1954年にエジプトの郊外で農民が偶然に発見した土の壷から見つかった。たくさんのグノーシス文書の中にあった。それから約60年間古物商などの手により数奇な運命をたどり、ようやく公表された。特集を組んだナショナル・ジオグラヒックを購入して詳しく読んで見ると炭素年代測定で科学的に検証され、紀元220年から340年頃のギリシャ語からコプト語に訳されたものという。

 聖書の知識のある人は、このニュースには驚かない。なぜなら、福音書には私たちが知っているマタイ・マルコ・ルカ・ヨハネだけではなく、トマスによる福音書やマリアによる福音書が確認されているからだ。推理小説では、ペテロによる福責書をバチカンが隠しているというのを読んだことがある。

 このユダによる福音書は、グノーシスという神秘派(後に異端とされる)により150年ごろに書かれたものであろうと推測されている。紀元180年頃にエイレナイオスがユダの福音書を批判する文が残っているので、その存在は知られていた。ユダは裏切り者ではなく、イエスに頼まれて裏切ったのであり、主から信頼されていた弟子であったというのが主な内容である。

 新約聖書の聖典は367年アレキサンドリアの司教アタナシウスが現在の4福音書を含む27の文書を決めてから、今日まで受け継がれている。それ以前は、わたしたちの知らない福音書や手紙、偽物がたくさんある中で、主イエスの出来事と意味を正しく伝えるのは、この27文書だけであると教会は決断し聖典としたのでした。今後、どんな有力な写本が見つかったとしても聖典に入ることはありません。

 

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